はじめに
アプリ開発者によくある悩み・・・登録者がゲームを続けてくれません!!。
続けてくれないをより細かく言うと、(1)コンテンツを一通りプレイしてもらいたいのか、(2)毎日プレイしてほしいのかによって分析方法が変わります。
どちらかというと(2)の方が難しいので、そちらを新規登録を増やすという観点から解説していきます。
この記事はゲームアプリ運営の分析ノウハウ vol.1 概要編の続きです。
おまけ:(1)コンテンツを一通りプレイしてもらいたいの分析方法
分析するゲームのコンテンツを一本道のストーリーだと、分析をイメージしやすいと思いますのでそちらで解説します。
前提として、ストーリー1~5まで一本道でゲームが進むとします。
分析すべきは、以下の3です。
1・ストーリー1のプレイ人数
2・ストーリー2のプレイ人数
3・ストーリー1→2の移行割合(=分析2の人数/分析1の人数)
ストーリー1~5まで、移行割合が低くなるポイントはどこか?を特定することが重要です。
ちなみに、3の移行割合が低かったとしても、3が悪いとは限らないことに注意してください。
想像してみてください。
「つまんねーなコレ」ってなってすぐに離脱します(ゲームやめます)か?
買い切りゲーだと特に、ちょっと違和感があっても買った手前勿体ないので続けるでしょうし、それをやめるような区切りを感じさせたポイントがストーリー3の可能性があります。原因ではないかもしれません。
そのように、離脱ポイントがわかってもすぐに結論に至れず、対策を打ちづらいことが分析の難しさを顕著に表しているでしょう。
そもそも買い切りゲーを分析して意味があるのか議論はあると思います。
アップデートができるならいいですし、次回作が決まっているなら参考になりますね。参考になるって言っても、買い切りゲーは前作とシステムやUIが全く同じでは出しづらい(売れない、目新しさがない)のでなかなか難しかったりする…。某連番ゲームの分析結果を見ましたが、結果は出たものの中身にはなかなか反映されずとかも…。
(2)毎日プレイしてくれません!!
「毎日プレイしてくれません」・・・確かに言いたいことはわかります。ただ、ユーザーがプレイを続けるようになるまでのステップを考えてみましょう。はじめはそうですね・・・アプリストアで見つけるところから始めてみましょうか。
アプリストアで見つける
→インストール(するか迷う。見た目で楽しそうか、競合アプリはどうか、容量との戦いは・・・。)
→新規登録(登録画面がないアプリも多いですね)
→チュートリアル開始(ないアプリも多いですね)
→チュートリアル終了
(高い壁)
→続けたい理由を見つける
(高い壁)
→プレイを続ける
vol.1にソーシャルゲームなら新規登録からの1日後継続率が25%を超えると書きましたが、この(めっちゃ多い)ステップを通して25%・・・?嘘やろって思います。分析するのは、このそれぞれのステップから離脱せず、かつ毎日続けたいようなコンテンツとなっているかどうかです。なんか文字で書くとめっちゃ厳しそう・・・
この目標値を超えてるアプリはすごいと思います。特に、広告経由のユーザーの継続率は酷いものです。
なぜなら、広告で移るようなユーザー≒広告媒体でアプリを探す(が、定着せず移行し続けていることが多い)ユーザーなので、目新しい高品質のゲームを探しています。ゲームを求めているのに、流動している・・・つまり定着しづらい。飽きっぽい人とかが多いイメージです。
そのため、継続率のカウントを行うユーザーは精査した方が良いと思います。検索経由で来た人とユーザー層が本当に大きく違いますので。
分析するユーザー層を定義する・・・とても重要なことです。
ちなみに、運営しているMeisyo+では検索経由ユーザーの1日後継続率は20~40%程度です。広告ユーザーになると10%を切ったりします。アドフラウド(偽広告、広告クリックBot)的なものもあるだろうけどつらい。
では、具体的な分析指標を羅列していきます。
・N日後継続率
・各コンテンツプレイ率(1日目にどのコンテンツをプレイしてなければならないか?)
・プレイ時間別UU数(1日目にどのくらいプレイしていないとならないか?)
・
・
・
ここで情報を整理します。まとめると、ここで考えるべきは4W2Hです。誰が(WHO)何を(WHAT)いつ(WHEN)どのように(HOW)どれくらい(HOW MUCH)・・・と。
どこで(WHERE)はアプリの想定利用用途によっては重要になる場合がありますが、スマートフォンゲームでは・・・そこまでかなと。データを取りにくいので。
そのように、どのようなプレイをされているかを把握する準備をしましょう。
なぜ準備するかって・・・?準備だけでいいです。もっと重要なことがあるので。
ゲーム内を分析する前にやりたいこと
プレイヤーを増やすために重要なのは、アプリストアで見つけられる、認知されることです。ゲーム内容をブラッシュアップするよりも大事です。
確率を上げる努力をするよりも、認知する人数を増やす方が効果的なことが多いです。アプリ制作者が普通に出したアプリは、本当に認知されていないので・・・。
ここも分析の考え方(A/Bテスト)を使います。
アプリストアに訪問するユーザーに見つけてもらうために、キーワードや各種画像をいろいろなパターンで試します。期間を分けて出し分けて、どのパターンが良いのか記録します。
ちなみに、(1)アプリ検索で見つけてもらいやすくするには文字情報が重要で、その検索の中で(2)(競合の中から)選んでもらうには画像や動画が重要です。
(1)は検索はいまだに文字情報が重要です。最新AIモデルであっても画像を読み取って正しく解釈することにしのぎを削っています。検索内容に反映はまだ難しいのではないでしょうか。
(2)はこれまでの経験からです。画像を変えるだけでコンバージョン率(見た人のうち、インストールする人の割合)が変わる≒(インストールを)選ぶかどうかは画像に影響を受ける≒競合アプリとの比較もする人はするだろうから、競合アプリの中からインストールされるには画像は意味があるはずである、という話の流れです。
ただ注意したいことは、説明画像は置けばいいってものじゃないですし、読まれるのはごく一部だと思ってください。説明画像をGoogle Playで最高8枚並べられるのですが、最初しか見てもらえないと思った方が良いと思います。検索が1ページ目の上位3つくらいしか見られない事実のように、ユーザーはサクッと意思決定しちゃいます。そのため、売り文句は1枚目に入れましょう。
そのように、インストールまでの各ステップで落とし穴になりそうなところをくまなく分析・改善していきます。
ざっくり書いてもインストールまででこの文量・・・;つД`)
結局何が重要かというと、はじめの方を対策しましょうってことです。ゲーム内よりインストール時点、その前・・・。
ゲーム内を分析する際にやりたいこと
ここもはじめの方を対策しましょう
特に新規登録は離脱ポイントになります。
・新規登録しないで良いゲームは新規登録させない
・新規登録ページを作らない(ワンクリック登録で済ませる)
・多くのデバイスでプレイすべきであるゲーム(メールアドレス登録、外部サイト連携)
ユーザー候補は面倒なことがあれば離脱します。
新規登録をした後はデータが取得可能になるため、細かいステップで分析できるようになります。
(ゲーム制作をしている中では数は少ないですが)事前ダウンロードが必要なゲームは、事前ダウンロードが離脱ポイントになりやすいので以下の対応を検討します。
・離脱率は許容できる値か
・許容できない場合は、下記対応ができるか
・チュートリアルを進めることができるようにする(のウラでダウンロード)
・PVを流す
・説明動画を流す
チュートリアルは上記の「おまけ:(1)コンテンツを一通りプレイしてもらいたいの分析方法」と同じように分析可能です。
チュートリアルは基本一本道ですし、移行割合(離脱率)も出せます。
ちなみによく聞かれるのはチュートリアル離脱ユーザーへの対策です。基本無理です。初日にそこでプレイ離脱するようなユーザーは何日待っても戻ってきませんし、毎日プレイするユーザーにはなりえませんでした…。
上記の通り、分析すべき所と打ち手は無数にあります。
そのため、分析しようと思えば何年でも分析し続けることが可能なので、ある程度やることを絞って重要なポイントだけ分析していきたいですね。
以降はよく使う考え方を紹介します。
汎用的な考え方
ファネル分析
「おまけ:(1)コンテンツを一通りプレイしてもらいたいの分析方法」の通り、ユーザーはステップを追うごとにどんどん離脱していきます。
この考え方をファネル分析・・・上流が大きくて下流が小さくなるファネルを参考にした分析方法です。イメージはググってみてください。
この考え方で、アプリ分析でやりたいことはだいたいが可能です。この考え方で対応が不可能なものは、できることが複数パターンあるなかで、どれが一番効果があるかです。それは次の決定木分析で分析できます。
決定木分析
決定木分析は、できることが複数パターンあるなかで、どれが一番効果があるかを分析する手法です。
継続率が高くなるユーザーはどのような行動をしているのかなんてことを分析してくれます。
・・・コンセプトはすごいんですよ?数理的にもしっかりできている。
否定的に書いている理由としては、継続率が高くなるユーザーはログインを良くしているみたいな当たり前の結果を示唆と言ったり、継続率が高くなるユーザーは課金額が多いなんてことも言われたことがあります。「課金をガッツリするような人間がすぐ離脱するわけないやろーが。無課金と比べんな」というツッコミを送ります。
そのように、決定木分析は当たり前の結果や異常値なユーザーを取ってきやすい分析です。それは要因でも何でもありません。
モデルや計算ロジックは悪くないんです。使い方がおかしいだけです。
使い方を正しくするには、仮説を持つ必要があります。
育成カードゲームであれば、「カード獲得」→「カード強化」や「装備獲得」→「装備強化」のようにどちらもプレイしておいてほしいコンテンツの流れがあると思います。それらが要因に出てくる必要がありますし、装備強化をノーマル武器からレアまでするなら5回必要みたいなレベルデザインが機能していることも決定木で確認できます。細かい手法はググってね。
そういえば分析記事(決定木分析)を書いてた→決定木分析(Python CHAID)を解釈する
そのように、少し高度な分析になると使い方がめっちゃ難しいので、基礎的な分析で対応した方が良いです…ホンマ(‘A`)
ちなみに、上記で出した例は決定木分析を使わずとも、「新規登録者のうちカード獲得枚数別の継続率」のような形で分析することが可能です。
なお、私の決定木分析の結果の読み方は、「最低限(要因A)を〇回プレイしていないと、ここまでしか継続率が上がらないのか…」です。決定木分析(継続要因分析)の要因は継続要因というより、離脱要因としてとらえています。最低限しきい値とでも言いましょうか。そうしないと希望的観測で語る人がいるので。
おわりに
今回は、毎日プレイするユーザーが増えないよというお悩みに、新規登録の面から解説を行いました。
疑問点や質問、リクエストがあればコメント等いただけるとありがたいです。
参考になりました。